2020年11月28日

CO2モニタツール

以前にZMOD4410のCO2センサCO2センサの比較について紹介しました。その際に紹介したZMOD4410とHS3001を組み合わせた環境センサ基板はエアクオリティセンサ基板として専用変換基板を組み合わせてスイッチサイエンスで販売を開始しました。

今回はZMOD4410の応用事例として、現在、開発中のCO2モニタツールを紹介します。ZMOD4410とHS3001を組み合わせた環境センサ基板にOLEDとLEDを実装した基板を組み合わせてCO2の状態や推移を可視化できるツールです。

今後は家庭や事務所等の使用を想定して、下記のような機能を実装してみました。

・温度、湿度、CO2、IAQ(ドイツ環境庁屋内空気質基準)表示機能
・グラフ表示機能
・USBシリアルポートを介したログ出力機能
・夜間のOLED表示、LED点灯の輝度自動減少機能
・ボタン切り替えによるメイン表示項目切り替え機能


sensor_1.jpg

sensor_2.jpg

開発中のため、上部からピンヘッダが複数出ていますが、最終的にはスティック状にする予定です。今後は筐体となるフレーム設計やファームの作りこみを行い、来年以降に提供開始を検討したいと思います。ZMOD4410はファームウェアを入れ替えることでCO2以外にも臭気や硫黄といった状態を計測することが可能です。他の状態に対応したファームウェアの開発も行ってみたいと思います。エアクオリティセンサ基板と組み合わせて自作モニタツールをぜひ開発してみてください。
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2020年11月21日

STM32 USB CDC応用

以前、STM32 USB CDC注意点について紹介しました。今回はUSBの接続有無確認やCOMポートのオープンといった確認する方法を応用編として紹介します。

■USB接続有無確認方法
ステートを確認することでPC等のホスト側とのUSB接続有無を確認することができます。STM32 HALライブラリのUSB CDC以外でも利用できます。USBデバイスのハンドルのdev_stateから確認できます。dev_state が USBD_STATE_CONFIGURED の場合はUSBがPCと接続されている状態です。例えば下記のような使い方ができます。

if(hUsbDeviceFS.dev_state == USBD_STATE_CONFIGURED)
{
   //USBが接続されている場合
}
else
{
  //USBが接続されていない場合
}

■COMポートオープン有無
CDCの場合、USB接続の有無だけでなく、COMポートのオープン有無を確認したい場合が多々あると思います。通信で確認する他に間接的ではありますが、CDC_GET_LINE_CODINGの呼び出しイベントから確認できます。電源ON後のUSB認識時とCOMポートオープン時にそれぞれ2回から3回、CDC_GET_LINE_CODINGのイベントが発生します。このイベント発生をカウントすることでCOMポートのオープンを確認することが可能です。

usbd_cdc_if.cファイル内のCDC_Control_FS関数のCDC_GET_LINE_CODING条件を下記の様に書き換えます。必要に応じて下記の様にカウンタとフラグを設定して確認できるようにします。

case CDC_GET_LINE_CODING:
{
  USBD_SetupReqTypedef * req = (USBD_SetupReqTypedef *)pbuf;
  if((req->wValue & 0x0001) != 0)
  {
    comOpenCount++;
    if(comOpenCount>3)IsComPortOpen=true;
  }
}


STM32マイコンのUSB関連のHALライブラリについても、最低限の機能は実装されているため、少しコードを追加することで応用することが可能です。他にも便利な機能等あれば、また紹介したいと思います。
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2020年11月14日

コード移植時のチェック項目

STM32マイコンのHALライブラリは移植性が高く、STM32FxxやSTM32Lxxといったシリーズを超えた場合でもほぼそのままのコードで動かすことができます。シリーズによっては一部の関数で引数が増えていたり、設定が異なっているものもありますが、多くはそのまま移植することができます。ただ、時々、移植してもうまく動かない、同じシリーズでも動作しないといった場合があります。そのような場合はコードの分かりずらい箇所で設定が違っていたり、コード以外の設定が違って動かないということがあります。

今回はコード移植時にうまく動かない場合のチェック項目について紹介します。これまでの経験でよくあるコード移植時の設定漏れをリストにしてみました。

@リンカスクリプト
プロジェクトフォルダ直下にSTM32Fxxxxx_FLASH.ldファイルがあります。メモリ配置を設定するスクリプトでSDRAMやSRAM、密結合メモリ等の設定をしています。また、HeapサイズやStackサイズを定義しています。サイズが異なる場合にメモリを確保できず、エラーとなっている場合があります。

Aスタートアップファイル
プロジェクトフォルダ直下のstartupフォルダにstartup_stm32fxxxxx.sファイルがあります。起動直後に呼び出される処理が記載されています。稀に初期化処理や割込み処理を意図的に変更している場合があります。

Bプリプロセッサ
SW4STM32の場合、プロジェクトのプロパティから[C/C++ Build]→ [Settings]→ [Tool Settings]→ [MCU GCC Compiler]→ [Preprocessor] の定義を確認します。うまく動くプロジェクトと比較して抜けがないか、確認します。コード上で定義(#define)せずにここで定義している場合があります。定義項目が抜けているとコードが部分的に除外され、挙動や動作が異なる場合があります。必要に応じて追加します。

preprocessor.jpg


C割込み
プロジェクト直下のsrcフォルダ内のstm32fxxx_it.cファイルに割込み処理の設定がされています。よくある移植時の設定ミスとして、タイマの割込み関数内に直接、割込み関数が定義されている場合があります。また、割込み設定がされておらず、関数自体がない場合もあります。特にHAL_Delayが動作しない、HAL_Delayで停止してしまう場合はstm32fxxx_it.cファイル内にSysTick_Handler関数が定義されているか確認します。合わせて、SysTick_Handler関数内にHAL_IncTick関数が呼び出されているか確認します。


WinMerge等でプロジェクトフォルダを丸ごと比較できる場合は移植時のミスに気づきやすいですが、フォルダ内の構造が違っていたり、異なるシリーズに移植した際はファイル名が異なるため、単純比較できないということも多々あります。このような場合に上記の項目について確認すると漏れに気づくことが多いです。他にもよくある漏れがあれば追記したいと思います。

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2020年11月07日

STM32 USBマスストレージクラス実装

CubeMXを用いて今回はSTM32マイコンにUSBカードリーダー的な機能(USBマスストレージクラス、MSC)を実装する方法について紹介します。今回はSDカードですが、応用すれば内蔵RAMやNOR Flash、NandFlash等への実装も可能です。今回はSTM32F746-Discoveryボードを用いました。環境はSTM32Cube FW_F7 V1.16.0+SW4STM32です。

1.CubeMX設定
1-1.ボード選択
ボード選択からSTM32F746-Discoveryを選択します。
1-1.jpg

1-2.SDMMC設定
SD4bit BUSを選択します。
SDMMCCLK clock divide factorに5を選択します。
GPIO Settingsで各IOをプルアップに選択します。
その他はデフォルトのままです。

1-2_1.jpg

1-2_2.jpg

1-3.USB_OTG_FS設定
ModeをDevice_Onlyを選択します。
その他はデフォルトのままです。

1-3.jpg


1-4.USB_DEVICE設定
「Class For FS IP」でMass Strage Classを選択します。
その他はデフォルトのままです。

1-4.jpg

1-5. クロック設定
USBのクロックを48MHzに設定します。それ以外は必要に応じて変更してください。

1-5.jpg


1-6.Heap、Stack設定
マウント時に足りなくなる可能性があるため、念のため、HeapとStackを10倍にして確保しました。使い方によってはもう少し減らしても問題ありません。
Heap 0x2000
Stack 0x4000

1-6.jpg

設定が一通り完了したら、コードを生成してプロジェクトにインポートします。

Aコード追加
コード追加が必要な部分は「usbd_strage_if.c」のみです。それ以外は既に初期化等のコードがCubeMXで自動生成されています。

72行目付近に下記のコードを追加します。

/* USER CODE BEGIN PRIVATE_DEFINES */
extern SD_HandleTypeDef hsd1;
#define CAPACITY ((uint32_t)0x80000000U)
/* USER CODE END PRIVATE_DEFINES */


STORAGE_GetCapacity_FS関数を下記のように書き換えます。

int8_t STORAGE_GetCapacity_FS(uint8_t lun, uint32_t *block_num, uint16_t *block_size)
{
  /* USER CODE BEGIN 3 */
  HAL_SD_CardInfoTypeDef info;
  int8_t ret = -1;
  HAL_SD_GetCardInfo(&hsd1, &info);

  *block_num = info.LogBlockNbr - 1;
  *block_size = info.LogBlockSize;
  if(info.LogBlockNbr<CAPACITY)
  {
   *block_num *= 512;
  }
  ret = 0;
  return ret;
  /* USER CODE END 3 */
}

ポイントは if(info.LogBlockNbr<CAPACITY)の部分です。2GB以下のSDカードの場合はif文以降がなくても動作しますが、2GBを超えるSDカードを対応させる場合には必須です。CubeMXで自動生成されるコードはSDカード2GB以下しか対応していないため、容量の条件に応じて対応させています。


STORAGE_Read_FS関数を下記のように書き換えます。

int8_t STORAGE_Read_FS(uint8_t lun, uint8_t *buf, uint32_t blk_addr, uint16_t blk_len)
{
  /* USER CODE BEGIN 6 */
  int8_t ret = -1;
  HAL_SD_ReadBlocks(&hsd1, buf, blk_addr, blk_len, HAL_MAX_DELAY);
  while (HAL_SD_GetCardState(&hsd1) != HAL_SD_CARD_TRANSFER){}
  ret = 0;
  return ret;
  /* USER CODE END 6 */
}

STORAGE_Write_FS関数を下記のように書き換えます。

int8_t STORAGE_Write_FS(uint8_t lun, uint8_t *buf, uint32_t blk_addr, uint16_t blk_len)
{
  /* USER CODE BEGIN 7 */
  int8_t ret = -1;
  HAL_SD_WriteBlocks(&hsd1, buf, blk_addr, blk_len, HAL_MAX_DELAY);
  while (HAL_SD_GetCardState(&hsd1) != HAL_SD_CARD_TRANSFER){}
  ret = 0;
  return ret;
  /* USER CODE END 7 */
}


上記の3つの関数を書き換えてビルドしてから、ファームを書き込みます。CN3にmicroSDカードを挿入し、CN13にmicroUSBをPCに接続するとmicroSDカードを読み書きできることが確認できました。デバイスマネージャからはSTM Product USB Deviceとして認識されます。


2.jpg

今回、書き換えた3つの関数をSDカードアクセス関数から別の関数に置き換えることで内蔵RAMやNOR Flash、NandFlash等をマウントすることが可能です。例えば内蔵RAMをマウントする場合は下記のように設定します。デバイス認識後、フォーマットによりファイルの読み書きができますが、RAMサイズが小さく、大きなファイルは保存できません。また、マイコンのリセットでデータが消えてしまいます。

#define STORAGE_LUN_NBR 1
#define STORAGE_BLK_NBR 100
#define STORAGE_BLK_SIZ 0x200
uint8_t buffer[STORAGE_BLK_NBR*STORAGE_BLK_SIZ];
STORAGE_GetCapacity_FS関数はデフォルトのまま
STORAGE_Read_FS関数内に下記を追加
memcpy(buf, &buffer[blk_addr*STORAGE_BLK_SIZ], blk_len*STORAGE_BLK_SIZ);
STORAGE_Write_FS関数内に下記を追加
memcpy(&buffer[blk_addr*STORAGE_BLK_SIZ], buf, blk_len*STORAGE_BLK_SIZ);


今回はCubeMXを用いてSTM32マイコンにUSBカードリーダー的な機能(USBマスストレージクラス、MSC)を実装する方法を紹介しました。今後はNOR Flash、NandFlash等のマウントにも挑戦してみたいと思います。また、FatFSとも組み合わせて、MSCとマイコン側からの読み書きの機能も紹介したいと思います。
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