2021年02月27日

楽天UNLIMITルーター

今回は電子工作や組込系から少し離れた話題となりますが、メイン回線として耐えうる楽天UNLIMITに最適なモバイルルーターを紹介します。キャリア以外から購入可能なモバイルルーターは数年前に比べると数が絞られています。楽天UNLIMITで使用可能なモバイルルーターは主にこちらの3つです。NEC MP02LN富士ソフト FS030WHUAWEI E5785です。

現状、コロナ禍で海外旅行は難しいものの、今後、海外での利用を考えるとバンドがより多い方が好ましいです。また、キャリアを変更した際にそのまま使用可能かを考えるとよりマルチバンドが好ましいです。この時点でNEC MP02LNはLNとLSで対応バンド毎に機種が異なるため、除外しました。残る候補として、富士ソフト FS030WとHUAWEI E5785になります。実際に使ってみて違いをまとめてみました。


■富士ソフト FS030W
・対応バンド
B1,B3,B8,B11,B18,B19,B21
・有線LAN対応
・最大150Mbps
 USBEthernetアダプタで有線LANでの接続が可能になります
・バッテリ無動作
 バッテリを抜いた状態で使用できます
・バッテリ劣化軽減機能
 電池充電を70%程度に抑えて劣化を抑制します

■HUAWEI E5785
・対応バンド
B1,B3,B5,B7,B8,B18,B19,B20,B28,B32,B38,B41,B42
・最大300Mbps
・SMS対応
 専用アプリorブラウザ経由の設定画面からSMSを確認できます

正直、モバイルルーターに付帯する機能としては圧倒的に富士ソフト FS030Wが便利です。特に有線LANやバッテリ無動作は自宅でメイン回線として使用する場合に非常に便利です。一方、HUAWEI E5785はモバイルルーターの基本機能に徹しており、正直あまり特徴がありません。

それぞれ2週間ほど2つを使ってみた結論はHUAWEI E5785です。電波が強く安定している場所では富士ソフト FS030Wで問題ありませんが、電波の弱い場所や室内では富士ソフト FS030Wの速度低下が大きく、速度が不安定になりがちでした。また、FS030Wは一度掴んだバンドが気づいたらローミングになっているということが多々ありました。


横浜の自宅マンションにてスピードテストで確認した結果を下記に記します。高速モードをOFFにして速度が低下の有無でパートナー回線か確認しています。楽天回線で土曜日の夜9時に測定しました。


fs_speed2.jpg
富士ソフト FS030Wの結果


hw_speed.jpg
HUAWEI E5785

上記の結果ではHUAWEI E5785よりも富士ソフト FS030Wが早い結果となっています。ただ、体感としては圧倒的にHUAWEI E5785が早いと感じました。上記の結果で各図中央の速度変化の推移をみると分かりますが、HUAWEI E5785の方が速度の立ち上がりが早く、以降は安定して推移しています。一方、富士ソフト FS030Wは立ち上がりが遅く、以降も速度が上下して安定していません。

最高速度で比較するとどちらも互角ですが、立ち上がりや速度安定が大きく異なりました。特に画像検索や動画の視聴で差が出ました。電波が強く安定している場所では差は感じにくいですが、電波が弱い場所で立ち上がりや速度安定に顕著な差がでました。


ここでは詳細については述べませんし、対応有無等はすべて自己責任の範囲となりますが、ファーウェイはバンド固定や確認ツール[1]が非常に充実しています。huawei_band_tool_config.txtで事前設定して各バッチファイルをクリックすることで任意のバンドに変更、状態の確認ができます。

これらの含めて、貿易摩擦の中で日本国内の存在感が薄れていますが、HUAWEI E5785が楽天UNLIMITに最適なモバイルルーターだと思いました。なお、電波は利用場所や設置環境によって大きく異なるため、参考の情報となります。また、速度や結果を保証するものではありません。
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2021年02月20日

Node-Redを用いたCO2センサ SenseAir S8 データ取得

今回は旭化成 CO2センサ S8 004-0-0053をNode-Redを用いて取り込んでみました。S8センサはNDIR方式のCO2センサで他の方式に比べて精度よく検出することが可能です。通信はUART接続となっており、Node-Redのnode-red-node-serialportとUSB-UARTシリアル変換アダプタを使用して簡単に接続することができます。なお、S8センサは3.3Vでなく、5V電源入力のため、5V出力があるUSB-UARTシリアル変換アダプタが便利です。

serialノードを使用する場合はクラウド版のnode-redでなく、rapberrypiやWindowsの場合、オンプレミス版のnode-redが必要です。

S8-0.jpg



S8-2.jpg

node-redのフロー全体は上記です。injectionノード、functionノード2つ、serialノード、デバッグノードを配置します。dashboardに表示させる場合は下半分のfunctionノード、ボタンとチャートを追加します。


S8-1.jpg

injectionノードは2秒ごとにイベントを発生させるように設定しました。


S8.jpg

測定指令としてS8センサに送るシリアルデータを設定します。

S8-4.jpg
serialノードは9600bpsに設定します。COMポートの番号はデバイスマネージャ等から番号を確認して選択します。

S8-5.jpg

functionノードでserialノードから受信したデータをCO2値に変換します。

S8-7.jpg

dashboardに表示させる場合は値をそのままpayloadに入れるため、functionノードで上記のような値変換を行います。



S8-6.jpg

実際にこのような感じでS8センサの値変化を可視化できました。
今回のnode-redフローファイルは
です。

S8センサを使ってみて、非常に感度が高く、微小な変化にも大きく反応するため、室内環境等を継続監視するためには平均化やローパスフィルタ等を通した方がよいと思いました。方式が異なるため、単純比較できませんが、以前に紹介したZMOD4410ではそのような処理含めて実装されているため、簡易的に室内環境を継続監視する目的では向いていると思いした。今後はS8含めて複数のCO2センサを同時比較してみたいと思います。
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2021年02月13日

掃除機 吸引圧その2

今回も先日の掃除機の吸引圧について追加検討した内容を少し紹介します。前回は紙パックを交換した直後の圧力変化を測定してみましたが、今回は紙パックがごみで満杯な状態で測定しました。

前回、掲載した結果と同じですが、紙パック新品の場合で吸引パワーを3段階切り替え可能で標準→強→弱の順に切り替えてみました。

掃除機圧力_.jpg


標準で1012hPaから996hPaまで低下、強で993hPa、弱で1004hPaとなりました。まとめると標準で-16hPa、強で-19hPa、弱で-8hPaという感じです。

続いて、紙パック満杯の状態で吸引パワーを3段階切り替え可能で標準→強→弱の順に切り替えてみました。

満杯.jpg

標準で1016hPaから996hPaまで低下、強で993hPa、弱で1005hPaとなりました。まとめると標準で-20hPa、強で-23hPa、弱で-11hPaという結果となりました。

紙パック新品と紙パック満杯で比較すると3~4hPa程度低下することが分かりました。想定よりも差が小さいことが分かりました。紙パックの状態を可視化するためには各吸引パワーモードを切り替える際の圧力勾配の変化等も合わせて測定する必要がありそうです。
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2021年02月06日

組み込み系メモリ比較

IoT等が当たり前になる中で高精度、高機能化が進んでいます。特にセンサ、機械学習や通信といった機能を実装するためにはより多くのメモリ(特にRAM)が必要となります。

一般的なIoT機器の場合、プログラムをROMから読み出して、センサ情報を処理して無線で送信するといった流れとなります。センサの高機能化、高性能化が進むとセンサのデータを取りこぼすことなく保存するためにより高速で大きなメモリが必要となります。一方でマイコンのメモリは容量が限られており、大容量マイコンで内蔵RAMは1MB程度、一般的なマイコンで数100kB程度です。外部電源から供給されるパソコンや測定機器ではSDRAMといったメモリを外部につけることでメモリを増やしていますが、電池駆動を想定したIoT機器では消費電力の大きなSDRAMを載せることは困難です。今回は組み込み系でQSPIといった簡単に接続可能なシリアルメモリを比較してみました。

近い条件で比較できるように容量を4Mbit周辺のシリアルメモリで比較しました。21年1月時点のDigikey、Mouserを中心とした価格と入手可能な部品(製造完了でない)をリスト化しています。


方式容量型式通信バス通信クロック価格書換回数書込待機揮発性
SRAM4MbitIS62WVS5128FBLLQSPI20MHz¥599Infinite不要揮発
PSRAM64MbitPSRAM 64MBIT SPI 133MHZ QSPI133MHz¥194Infinite不要揮発
MRAM4MbitMR25H40DFSPI40MHz¥1,347Infinite不要保持
FRAM4MbitCY15B104QI-20LPXCSPI40MHz¥2,4131x10^15不要保持
FRAM4MbitMB85RS4MTPFSPI40MHz¥8551x10^13不要保持
EEPROM4MbitM95M04-DRMN6TPSPI10MHz¥2564x10^6必要保持
ReRAM4MbitMB85AS4MTPFSPI5MHz¥5551.2x10^6不要保持
nvRAM1MbitCY14B101Q2ASPI40MHz¥1,0831x10^6必要保持
NOR FLASH4MbitAT25SF041B-SSHB-T QSPI108MHz¥321x10^5必要保持
NAND FLASH1GbitMT29F1G01ABAFDWBQSPI133MHz¥2961x10^5必要保持


センサのデータを取りこぼすことなく保存するようなRAM的な使い方を想定すると、耐えられるものはSRAMやPSRAMはもちろんですがほぼ無限に近いMRAM、FRAMとなります。それ以下はRAM的な使い方をする場合、速度、書き換え回数を考慮した設計が必要となります。設定データ等、書き換えの少ないデータの場合はEEPROM、nvRAM、Flashメモリ等でも十分ですが、センサ測定毎に書き換える場合、すぐに寿命になります。例えば、1秒ごとに測定して書き込む場合、1日で86400回書き換えが発生します。Flashでは10日、EEPROMの場合は100日、3か月程度で寿命となります。実際は書き込みブロックを変えるといった処理で書き換え箇所が集中しないようにして、寿命を延ばします。ただ、組み込み系の場合、そこまで管理しない、できない場合も多々あります。


SRAMやPSRAMの代わりにMRAM,FRAMを使用すると不揮発メモリのため、毎回、RAMに初期化の処理を展開する必要がなくなり、起動時間短縮のメリットがあります。ただ、価格がまだ少し高く、容量も4Mbit、8Mbitが最大で限られているのが難点です。今後のMRAM,FRAMの大容量化、低価格化に期待です。
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