2021年04月03日

フォトカプラを使ったUART通信

電圧レベルが異なる場合やノイズ環境といった場合に安全に信号を伝える方法の1つとしてフォトカプラを使用することがあります。フォトカプラでON、OFFといった単純な信号のやりとりの場合はフォトカプラと適切な抵抗のみで信号のやり取りが可能です。一方でUARTやSPIといったある程度高速な信号をやり取りする場合、フォトカプラと抵抗のみでは安定した通信ができません。

下記はフォトカプラと抵抗のみを使用した場合のボーレート38400bpsのUART通信をフォトカプラの入力と出力のTXの電圧波形の比較です。赤がフォトカプラ入力電圧、黄色がフォトカプラ出力の電圧です。

uart.jpg

汎用フォトカプラTPC817を使用し、フォトカプラの入力には直列に330Ω抵抗、フォトカプラの出力には120Ωでプルアップしています。フォトカプラのOFF状態でも1.6V程度出ており、ピークで3V出ています。波形も鈍っており、安定してUART通信できません。

フォトカプラの受光側のフォトトランジスタに流せるコレクタ電流は最大50mA程度です。実際は定格最大が50mA程度であって、発光側の光量によっては数mA以下となります。駆動できる電流が数mA程度の場合、フォトカプラのフォトトランジスタやマイコンの入力端子、ケーブル等の静電容量の影響によって波形が鈍ってしまいます。UARTやSPIといったある程度高速な信号をやり取りする場合はトランジスタやバッファIC等で電流を増幅して伝達することが必要となります。

uart_relay_with_tr.jpg

フォトカプラの出力部分をトランジスタC1815で増幅すると上記のように波形が鈍りを低減させることができました。

BOMコスト低減のためにトランジスタやバッファICを使用したくない場合は、ADuM1200ARZといった信号用デジタルアイソレータIC、大電流対応のフォトカプラTLP250等を使用することで追加回路なしで波形の鈍りを低減できます。なお、TLP250の動作電圧10V以上ですが、仕様範囲外の3.3Vでも動作します。


uart_photo_high_current.jpg

TLP250を用いたフォトカプラの入力と出力のTXの電圧波形の比較です。


uart_photo_fet.jpg

参考になりますが、こちらはフォトカプラの出力を手持ちのパワーMOSFet、IRLU3410PBFで増幅した波形です。信号の鈍りはないものの、MOSFetのゲートの静電容量の影響を受けて波形のON、OFFの長さが完全に変わっています。これでは正しく通信できません。フォトトランジスタの出力電流や増幅回路の静電容量を考えて設計することが重要だと分かります。


フォトカプラは単純な機構なので理想的に動くと勘違いしがちです。特に通信を絶縁する場合のアプリケーションでは波形を見ながら抵抗値や増幅回路等を決定することが重要です。
posted by Crescent at 00:00| Comment(0) | 電子部品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする