2022年07月23日

ST製気圧センサLPS25HB注意点

ST製気圧センサLPS25HBを使っていて、うまく気圧データを取得できないという問題に遭遇したため、その対処方法について紹介したいと思います。今回は秋月電子で販売されているLPS25HBの変換基板を使用しました。

現象としては一般的なI2Cデバイス同様にアドレス、レジスタを指定して、データをまとめて読み出すという流れでLPS25HBから気圧データを3byte分読み出すと同じ値のデータが3つ読み出され、意図した値が読み出せてないということが分かりました。データシートをよく見るとLPS25HBは一般的なI2Cデバイスと異なり、まとめてデータを読み出す際の自動アドレスインクリメントがデフォルトで無効化されているということが分かりました(データシートP.25)。自動アドレスインクリメントを有効化する場合はレジスタの最上位ビットに1をセットして読み出すと記載があります。自動アドレスインクリメントとは、2バイト以上のデータを読み出す際に先頭のレジスタのみ指定すると自動的にレジスタをインクリメントして一括で2バイト以上のデータを読み出せる機能です。

つまり、LPS25HBで気圧データ等を取得する場合、個々のレジスタを指定して1つずつ読み出すか、レジスタの最上位ビットに1をセットして読み出す必要があります。

例えば気圧データの場合、レジスタはPRESS_OUT_XL 0x28、PRESS_OUT_L 0x29、PRESS_OUT_H 0x2Aとなり、0x28を指定して3回読み出しするのでなく、レジスタの最上位ビットに1をセットした0xA8を指定して3回読み出しする必要があります。同様に温度の場合は0x2Bでなく、0xABを指定する必要があります。


他のST製気圧センサをざっと調べてみたところ、自動アドレスインクリメントがデフォルトで無効化されているのはLPS25HBのみということが分かりました。



製品名アドレスインクリメント有無
ILPS22QS
LPS22CH
LPS22DF
LPS22HB
LPS22HH
LPS25HB×
LPS27HHTW
LPS27HHW
LPS28DFW
LPS33K

LPS25HBを使用する際は自動アドレスインクリメントがデフォルトで無効化されていることに注意してください。一般的な多くのI2Cデバイスはアドレスの自動インクリメントが有効化されていますが、ごく稀に自動アドレスインクリメントがデフォルトで無効化されているデバイスがあります。LPS25HBに限らず、I2Cデバイスの読み出しで同じ値が読み出されるという場合は自動アドレスインクリメントの設定がどうなっているか確認した方が良いと思いました。
posted by Crescent at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子部品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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