2024年04月20日

Web USB Encoder Tool

以前にWeb HID APIを用いたMCP2210とWeb HID APIでブラウザを介して通信するツール、Web USB SPI Toolを紹介しました。今回はWeb HID APIとMCP2210を応用して、ブラウザを介して簡単にSPI接続の磁気エンコーダの角度を読み込むツール、Web USB Encoder Toolを実装してみました。


WebUsbSpiEncoder.png

対応する磁気エンコーダはAMS製のAS5048A、MPS(Monolithic Power Systems)製のMA730/732に対応しています。ちょっとした動作確認や接続の確認等に便利です。接続後、開始/停止ボタンを押すと200msec毎に角度を読み込んで値が更新されます。

Web HID APIに対応したブラウザはEdgeもしくはChromeのみ対応となっており、24年1月時点ではFirefoxやSafariは対応していません。Web HID APIを用いることで専用のソフトウェアなしでブラウザ単体で様々なツールを実装できるのは非常に魅力的だと思いました。今後もWeb HID APIを用いた応用的な機能を開発して順次公開したいと思います。
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2024年02月17日

Web USB SPI Flash Tool

以前にWeb HID APIを用いたMCP2210とWeb HID APIでブラウザを介して通信するツール、Web USB SPI Toolを紹介しました。今回はWeb HID APIとMCP2210を応用して、ブラウザを介して簡単にSPI Flashの読み書きをするツール、Web USB SPI Flash Toolを実装してみました。


WebSpiFlashTool.png

SPI FlashのデバイスIDの確認やメモリの読み出し(binファイルへの書き出し)、SPI Flash全体の消去、メモリの書き込み(binファイルの読み込み)に対応しています。ページサイズやアドレス長を選択できるため、様々なSPI Flashにも対応しています。SPI Flashの他、インストラクションに互換性のあるSPI接続のFRAMやEEPROMにも対応しています。

ただし、残念ながら、読み書きの速度が非常に遅いです。Web HID APIに限らず、MCP2210はUSBのHIDインタフェースを使用しているため、規格の制約上、1msec毎に64byteの送受信が行われます。USB2.0等であってもHIDインタフェースのため、読み書きの速度が大幅に制限されます(HIDインタフェースは人の入力等を想定した規格で高速な転送は想定されていない)。数十Mbit以上になると読み書きに30分~1時間以上要するため、日常ユースとしては向いていません。また、環境によっては読み書きが不安定な場合もありました。数百kbit程度のちょっとしたメモリの確認程度が良いかと思いました。なお、今回紹介したWeb USB SPI Flash Toolによるデータ読込/書込ミス、データ喪失等、一切の責任を負いかねます。また、ブラウザはEdgeもしくはChromeのみ対応となっており、24年1月時点ではFirefoxやSafariは対応していません。

Web HID APIを用いることで専用のソフトウェアなしでブラウザ単体で様々なツールを実装できるのは非常に魅力的だと思いました。今後もWeb HID APIを用いた応用的な機能を開発して順次公開したいと思います。
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2023年12月23日

ProjectionBall Unit

2017年にProjectionBall IoT(v5.x)をリリースしてから、機能を絞った廉価で小型なモデルの要望を頂き、検討していました。試作を繰り返す中でコロナ禍における半導体不足の影響で予定のマイコンが入手できず、別のマイコンに変更する等で2020年リリースの計画よりも大幅に遅れました。結局、ProjectionBall Unit(v7.x)のリリースは2023年末になってしまい、先日からスイッチサイエンスにて販売を開始しましたfabcrossでも紹介して頂きました。


■筐体
従来は1枚の基板を100mmの樹脂球体に入れた構造でした。今回は筐体を兼ねた2枚の基板でガルバノミラーモジュールを構成することで、従来のような球体等のケースが不要となり、更に小型化が可能となりました。サイズは60mm x60mm x 43mmです(突起部、USBコネクタ除く)。

img4.JPG

■マイコン
マイコンにはRP2040を採用することで、2コアの特性を活かし、従来のSTM32F3よりも制御周期を100usecから80usecと更に高速化を実現しました。コア0にコンソールやユーザ処理、コア1にモータ制御で処理を分担しています。また、RP2040の採用で専用のファーム書き込みツールが不要となり、PC等から簡単にファームウェアのアップデートができるようになりました。ROM、RAMも非常に大きいため、今後の機能拡張にも十分です。

なお、小型化のため、今回はSDカードスロットを基板から除きましたが、SPIポート自体は基板上に残したため、SDカードやSPI通信等の将来的な拡張も容易です。Grove互換コネクタをI2CとUARTの2ポート搭載しており、センサとの連携等の拡張も可能です。

MPU.jpg

■エンコーダ
エンコーダには従来のAS5048Aと同等性能の14bit分解能でありながら、低コストなMA732を採用しました。MA732はICパッケージもQFN16で小型なため、本体の小型化にも貢献しています。

Encoder.jpg



■RTC
RTCには時刻ズレを抑えるため、温度補償付きの高精度かつ安価なRTC、SD3077を採用しました。最大3.8ppmと1ヶ月で10秒以内、1年でも数分以内のズレに大幅に低減することが可能です。温度補償や一般的な水晶発振子のみでは20ppmから 40ppmで1ヶ月で数分、1年で数十分のズレが生じる可能性があることから大幅に時刻ズレを低減できます。また、RAMが70byteまで利用できるため、様々な設定情報等を保持することが可能です。

RTC.jpg


■ミラーモジュール
従来のミラーモジュールは複数の部品を接着剤で組み合わせて固定していました(図左)。今回は廉価である他にも組み立て調整しやすいことも合わせて目標にミラー部分を3Dプリンタで一体成形しました(図右)。また、金属製のミラーからガラス製のミラーに変更しました。一体成型にすることでミラーモジュール全体が軽くなり、応答性や耐久性も向上しました。


mirror.jpeg


■まとめ
ProjectionBall Unit(v7.x)は前バージョンに引き続き、Open Source Hardwareとしてソースコード含めてリリースしています。初回ロットは販売当日に完売しました。可能な限り在庫0の状態を避けたいものの、他の製品と比べると部品数が多いため、当面は月10台程度の生産、納品数で様子をみたいと思います。
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2023年08月12日

ToF測距センサMTOF171000C0

今回はToF測距センサーモジュールMTOF171000C0を紹介したいと思います。モジュール内部にマイコンを搭載しており、I2CもしくはUARTで距離を簡単に取得することが可能です。


I2Cで使用する場合は少し特殊で、RXをGNDに落とす必要があります。UARTを無効化するためにモジュールセレクトとしてRXピンを使用しているようです。実際に使用してみたところ、I2Cしか使用しない場合はRXピンを常にGNDに落としたままでも測距できました。そのため、専用のIOでRXピンを上げ下げしなくてもI2Cデバイスとして利用できるようです。


対応距離のラインアップの充実ではVL53LXXシリーズが勝りますが、VL53LXXシリーズはドライバが重く、マイコンの種類によってはROMに収まりきらないことが多々あります。ToF測距センサーモジュールMTOF171000C0は初期化コマンドも不要でレジスタにアクセスするだけで距離を取得することができます。ドライバプログラムが非常にシンプルで便利だと思いました。


USBシリアルI2C変換基板とWebシリアルAPIを活用して、モニタツールを実装してみました。


ToF.jpg

ToF測距センサーモジュールMTOF171000C0は比較的低価格で薄く小型なため、色々な機器に組み込んで活用できそうです。色々試してみたいと思います。
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2023年03月25日

iOS Web Bluetooth API

前回はBLE5モジュール変換基板BLE5モジュール変換基板V2とブラウザを介してシリアル通信できるツールを紹介しました。実装方法としてWeb Bluetooth APIを用いており、EdgeやChrome等の対応したブラウザが必要になります。iOSのSafari含めてスマートフォンの多くのブラウザではWeb Bluetooth APIに対応していません。今回はiOSでWeb Bluetooth APIに対応したサードパーティのブラウザを使ってブラウザを介してシリアル通信できるツールを利用できるかテストしてみました。

手持ちのiOS16でWeb Bluetooth APIに対応したサードパーティのブラウザとして、BluefyC.ブラウザをテストしてみました。Bluefyでシリアル通信できるツールにアクセスして、接続ボタンを押すと、BLEデバイスが表示され、OS側でのデバイス追加なしで簡単に接続することができました。また、iOS上のBluefyブラウザから文字列を送信したり、逆にBLEデバイスからUARTを介して文字列を送信して、Bluefyブラウザに表示できることが確認できました。実際に接続してみたスクリーンショットは下記の通りです。

bluefy.jpg

一方でC.ブラウザは接続ボタンでデバイス選択画面が表示されるものの、BLE5モジュール変換基板BLE5モジュール変換基板V2のBLEデバイスが表示されず、利用できませんでした。

スマートフォン向けにBLE5モジュール変換基板BLE5モジュール変換基板V2を用いたシリアル通信はBGX Commanderアプリ(iOS/Android)が提供されていますが、独自UIを実装する場合、追加でアプリ開発や登録等の手間が生じます。それらの手間を考えるとブラウザは限定されるものの、Web Bluetooth APIでOSに依存せずにサービスを提供できるのは非常に魅力的だと思いました。今後、Web Bluetooth APIに対応したiOSのBluefyを用いて色々実験や検討をしてみたいと思います。
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