2021年07月17日

Eport E10

今回はシリアルイーサネットモジュールEport E10について紹介します。Eport E10はAliexpressで1個2000円前後で購入可能です。Eportシリーズは中国版Xportという感じでシリアル(UART)通信のコマンドで簡単にイーサネットのサーバやクライアントとして動作して他の機器と通信することが可能です。Eport E10はFreeRTOSベースですが、他にLinuxベースのEport Pro-EP10、Pro-EP20等があります。


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Eport E10そのままでは扱いにくいため、Grove互換コネクタをつけた基板を設計して取り付けみました。


3.3Vの電源を供給してLANコネクタをLANケーブルでPCに接続するとDHCPで自動的にIPアドレスが割り当てられます。デフォルトではブラウザから169.254.173.207にアクセスすると詳細の設定をすることが可能です。ID admin PW adminでログインできます。


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また、UARTから文字を受けたり、コマンドを送ることもできます。デフォルトのボーレートは115200bpsです。なお、UARTからコマンド(Cliコマンド)に入るためにはデフォルトでは「+++」を入力する必要があります。ただ、teraterm等から入力する場合、キーボードからの文字入力ではなかなかCli環境に入れませんでした。teraterm等から入力する場合は事前に「+++」の文字列をメモ帳等からコピーしてteraterm上で右クリックで貼り付けして送信すると一括で+が連続送信されるため、Cli環境に入ることができることが分かりました。

Eport E10を使用して簡単かつ安価にイーサネット通信ができそうなことが分かったため、いろいろ試してみたいと思います。
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2021年07月10日

I2C/RS422-RS485コンバータ基板

今回はI2C/UARTプロトコルブリッジICのSC16IS740/750/760 を応用したI2C/RS422-RS485コンバータ基板について紹介します。I2C/UARTプロトコルブリッジICにRS422-RS485トランシーバICを組み合わせることでI2CからRS422-RS485の送受信をできるようにしました。

以前に開発したI2C/Uartコンバータと同様にマイコンのメインクロックに依存せずにボーレートを設定可能なことやソフトウェアUARTのような高負荷にならずに通信できる等の特徴があります。RS422-RS485のトランシーバICを搭載することでRMD Servoモータ等のRS485対応のデバイスをI2Cから制御することができます。

実際に基板を設計してみました。

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マイコンからはSC16IS740/750/760 をI2Cデバイスとして制御し、RS422-RS485のボーレート設定、半二重の送信/受信処理をすることができます。64 bytesのバッファを内蔵しているため、通信速度が遅いI2Cでも一旦、バッファで受けて後から受信したデータを読み出すといったことが可能です。

SC16IS740/750/760の電源は3.3Vですが、信号の各ピンは5V耐圧のためArduino UNOなどに接続してそのまま使用することも可能です。基板上に3.3Vレギュレータを搭載しているため、5Vもしくは3.3V電源の両方で動作します。

I2CはGrove互換コネクタ、RS422-RS485の接続は供給電源のV(Groveの電源そのまま直結)、RS422-RS485の+、RS422-RS485の-、共通GNDのGを4ピンターミナルにしました。基板上でRS422-RS485の+と-はそれぞれプルアップ、プルダウンしています。なお、終端抵抗は4ピンターミナルに配線と一緒に接続することが可能なため、基板パターンのみの未実装にしました。

手元にSO-ICのトランシーバICがなかったため、無理にDIP8をSO-ICにハンダしましたが、問題なく動作を確認することができました。サンプルコードを作成して設計に問題なければ、量産版の製造と販売開始をしたいと思います。
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2021年06月12日

エアフローセンサ構造

今回はOMRON製のMEMS風量センサD6F-Vの構造を紹介したいと思います。MEMS風量センサD6F-Vは1個3000円前後でMouser等から入手可能です。親指サイズ ( 24 x14 x8mm )ながら、MEMS技術で微風の風量を安定して測定することが可能です。

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2か所の爪で固定された構造のため、比較的簡単に分解することが可能です。なお、分解を推奨するものでなく、分解によって精度悪化や破損する場合があります。

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側面の穴から流路を通って外に出るまでの気流の流れを検出します。

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基板の表面(筐体シール裏)には2つの調整用の可変抵抗があり、基準電圧ICとオペアンプと思われる部品が実装されています。MEMSセンサ部のアナログ信号を調整してアナログ出力する回路のようです。可変抵抗はシールをはがすとアクセスできるようになっており、工場出荷時にキャリブレーションしてからシールを貼って出荷していると思われます。

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流路側にはヒータと温度センサが一体になったMEMSセンサが実装されており、温度変化から風速を検出するようです。MEMSセンサから基板上のパッドに金線でリード配線されている構造です。MEMSセンサ部やリード部は何も保護されていないため、触らないように注意が必要です。

MEMSセンサ部はともかく、思った以上にアナログ回路部がシンプルで驚きました。肉眼では詳細は分かりませんでしたが、MEMSセンサ部分にもヒータの温度管理や温度センサの補正回路等が入っていると思われます。
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2021年06月05日

エアフローセンサ

今回はOMRON製のMEMS風量センサD6F-Vを紹介したいと思います。MEMS風量センサD6F-Vは1個3000円前後でMouser等から入手可能です。親指サイズ ( 24 x14 x8mm )ながら、MEMS技術で微風の風量を安定して測定することが可能です。


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風量範囲は0~3m/sとなっており、電源電圧が3.3V、出力範囲が0.5~2Vで一般的なマイコンとの相性がよいです。D6F-V以外の機種もありますが、出力範囲が1~5Vで電源電圧が10.8V以上必要なため、一般的なマイコンでは少し扱いづらいです。

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製品側面の手前に小さな穴があり、手前から奥側に抜ける風量を電圧値として出力します。製品として保証しているのは0~3m/sで電圧範囲は0.5V~2V±0.15Vですが、手持ちのセンサは無風状態で0.47Vを示し、試しに息を吹きかけると最大2.66V、風速3.25m/s程度まで出力されました。製品の保証外ですが、逆向きから息を吹きかけると0.47Vから0Vまで出力電圧が低下しました。また、センサ流入口から5cmくらいの距離で手で少し強めに仰ぐと風速0.5m/s~1m/s前後のようです。

本センサは空気清浄機等にフィルタ詰まり検出を目的にしているため、風量の絶対値を正確に測定する目的には使用できませんが、非常に小型なため、例えば、換気している窓際の風速を確認したり、局所排気装置の風量を簡易的に測定することや、PC内の各箇所の冷却風量の確認や監視に最適だと思いました。
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2021年04月03日

フォトカプラを使ったUART通信

電圧レベルが異なる場合やノイズ環境といった場合に安全に信号を伝える方法の1つとしてフォトカプラを使用することがあります。フォトカプラでON、OFFといった単純な信号のやりとりの場合はフォトカプラと適切な抵抗のみで信号のやり取りが可能です。一方でUARTやSPIといったある程度高速な信号をやり取りする場合、フォトカプラと抵抗のみでは安定した通信ができません。高速な信号をやりとりする場合は通信用フォトカプラを使用するか、今回のような確認や調整が必要です。

下記はフォトカプラと抵抗のみを使用した場合のボーレート38400bpsのUART通信をフォトカプラの入力と出力のTXの電圧波形の比較です。赤がフォトカプラ入力電圧、黄色がフォトカプラ出力の電圧です。

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汎用フォトカプラTPC817を使用し、フォトカプラの入力には直列に330Ω抵抗、フォトカプラの出力には120Ωでプルアップしています。フォトカプラのOFF状態でも1.6V程度出ており、ピークで3V出ています。波形も鈍っており、安定してUART通信できません。

フォトカプラの受光側のフォトトランジスタに流せるコレクタ電流は最大50mA程度です。実際は定格最大が50mA程度であって、発光側の光量によっては数mA以下となります。駆動できる電流が数mA程度の場合、フォトカプラのフォトトランジスタやマイコンの入力端子、ケーブル等の静電容量の影響によって波形が鈍ってしまいます。UARTやSPIといったある程度高速な信号をやり取りする場合はトランジスタやバッファIC等で電流を増幅して伝達することが必要となります。

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フォトカプラの出力部分をトランジスタC1815で増幅すると上記のように波形が鈍りを低減させることができました。

BOMコスト低減のためにトランジスタやバッファICを使用したくない場合は、ADuM1200ARZといった信号用デジタルアイソレータIC、大電流対応のフォトカプラTLP250等を使用することで追加回路なしで波形の鈍りを低減できます。なお、TLP250の動作電圧10V以上ですが、仕様範囲外の3.3Vでも動作します。


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TLP250を用いたフォトカプラの入力と出力のTXの電圧波形の比較です。


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参考になりますが、こちらはフォトカプラの出力を手持ちのパワーMOSFet、IRLU3410PBFで増幅した波形です。信号の鈍りはないものの、MOSFetのゲートの静電容量の影響を受けて波形のON、OFFの長さが完全に変わっています。これでは正しく通信できません。フォトトランジスタの出力電流や増幅回路の静電容量を考えて設計することが重要だと分かります。


フォトカプラは単純な機構なので理想的に動くと勘違いしがちです。特に通信を絶縁する場合のアプリケーションでは波形を見ながら抵抗値や増幅回路等を決定することが重要です。
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