2020年08月22日

Node-Redを用いたアナログ値読み込み

前回紹介したNode-RedからのI2Cデバイス制御する方法に続いて、応用例を紹介します。今回はGroveADCモジュールUSB-I2C変換アダプタを使用してNode-Redを用いてAD変換をしてみました。

GroveADCモジュールADC121C021を搭載しており、I2Cで簡単にAD変換することが可能です。初期化の際に連続変換モードに設定すれば、自動的に最新のAD変換値がレジスタに入るため、値を読み出すだけでAD変換値を得ることができます。今回はGroveADCモジュールには可変抵抗を接続して手動で値を変えられるようにしました。

また、Node-Redのdashboardパレットを追加すると簡単に可視化も可能です。今回は簡易的にグラフとして電圧値を出力するUIを作成してみました。実際にNode-Redで作成してフローは下記です。

grove_adc_flows.jpg

作成したUIはこんな感じです。

grove_adc_UI.jpg

クリアボタンでグラフをクリアできます。また、スタートストップの切り替えスイッチも作成してみました。
今回のサンプルフローもこちらに追加しています。

USB-I2C変換アダプタとNode-Redを用いて簡単にAD変換ができました。光センサや温度センサなどアナログで出力する様々なセンサを接続して取り込んでみてください。なお、USB-I2C変換アダプタはUSB電源からの給電で動作するため、USBポート(特にパッシブUSBハブ)によっては電源電圧が低く、4V~5V付近のアナログ値を得られない場合があります。その場合はPC直のUSBポートか、ACアダプタ付きのUSBハブ等を使用して電圧が得られるUSBポートを使用してください。


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2020年08月15日

AC電流センサ基板

今回は非接触(電流を検出したいケーブルを加工しない)電流センサ基板について紹介します。一般的にAC電流を検出するためにはシャント抵抗を挟んで電圧差を増幅させるか、片側をクランプ式の電流センサ(CT)を挟んで電流を検知する方法があります。他にはロゴスキーコイルを用いた方法などがあります。

その中でもクランプ式電流センサ(CT)は構造が容易で非接触(電流を検出したいケーブルを加工しない)で電流を検出できることから電流センサとして多く使用されています。クランプ式電流センサ(CT)は理論的には片側の電源ケーブルのみをクランプする必要があります。電源ケーブル2本をクランプすると180度位相が互いに打ち消すため、近接した2本の電源ケーブルから電流を検出することはできません。分電盤などでは片側のみをクランプすることが容易であっても多くの家庭用電源ケーブルは2本合わせて1つの束となってるため、ケーブルを加工しない限り、片側のみをクランプすることが難しい場合が多いと思います。

sensor.jpg


家庭用電源ケーブルの多くは被覆で覆われている中で2本平行に並んでいるため、ミクロでみると個々に磁界が発生しています。この2つの磁界の差を利用して、近接したホール素子で磁界を検出することで非接触かつ、多くの家庭用電源ケーブルで検出可能な電流センサ基板を設計してみました。

accs0.JPG


この電流センサ基板は電源ケーブルの2本の線から発生する磁界を2つの近接して配置したホールセンサで検出します。検出した磁界の差を増幅してピークをホールドさせることで電源ケーブルの電流を電圧として出力します。電源ケーブルの2本の線に対するホールセンサの位置や電源ケーブルの被覆厚によって検出できる電流の範囲は異なりますが、電流センサ基板上のゲインを調整することで100Vの場合、数10w〜1kw程度までの電流を検出することが可能なことが確認できました(照明とエアコン、ドライヤーで検証)。

accs.JPG

電流の絶対値を知りたい場合にはクランプ式電流センサの方が優れます。一方で電流が既知の場合や大まかに電流の変化を知りたい場合には市販の電源ケーブルを加工せずに使用可能なため、電流センサ基板は使いやすいと思います。

なお、磁界変化をピークホールドさせるため、急激な電流変化や微小な電流変化の検出はできません。また、同じ電流であっても電源ケーブルの種類や取り付け位置によっても磁界の大きさが変化し、出力も合わせて変化します。電源ケーブルと電流センサ基板の取り付け位置は固定させる必要があります。

センサ位置やゲイン調整の検証をして問題なければ、諸情報を公開したいと思います。
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2020年08月08日

I2Cスレーブデバイス実装

STM32マイコンのHALライブラリを用いてI2Cスレーブデバイスを実装する場合について紹介します。最も簡単なI2Cスレーブデバイスの実装としては同期関数であるHAL_I2C_Slave_Transmit、HAL_I2C_Slave_Receiveを用いて通信する方法があります。ただ、この方法では一般的なI2Cスレーブデバイスのような実装ができません。

一般的なI2Cスレーブデバイスの場合、I2Cマスタデバイスから下記のような順でデータを書き出したり、読み出したりします。

@スレーブアドレス
Aスレーブレジスタ書き込み
Bデータ書き込みor書き込み

同期関数を使用した場合はタイムアウトするまでスレーブデバイスとしてI2C受信処理以外ができなくなってしまうため、非同期関数で受信時以外はスレーブデバイスとしてのセンサ情報管理や取得、ADC変換といった別の処理をさせたほうが現実的だと思います。

今回は非同期で上記のような一般的なI2CスレーブデバイスをSTM32マイコンで実装する場合について紹介します。



@CubeMX設定
I2Cデバイス設定で「Parameter Settings」の「Primary slave address」にI2Cスレーブデバイスを7bitアドレスで設定(例では0x32)します。CubeMXで生成後に自動的にコード上ではRead、Writeビットを含めた8bitアドレスしてビットシフトされます。

非同期でI2Cスレーブ受信処理を行うため、NVIC Settingsで「I2C* event interrupt」、必要に応じて「I2C* error interrupt」にチェックを入れて割込みを有効化します。


Aコード実装
グローバル変数として下記を定義します。
volatile uint8_t TransferDirection, TransferRequested;
volatile uint8_t SensorData;

#define I2C_SLAVE_ADDR (0x32<<1)
#define SENSOR_REGISTER 0x1
#define WHO_AM_I_REGISTER 0x0
#define WHO_AM_I_VALUE 0xBC
#define TRANSFER_DIR_WRITE 0x1
#define TRANSFER_DIR_READ 0x0

グローバル関数として割込み関数を定義します。

void HAL_I2C_AddrCallback(I2C_HandleTypeDef *hi2c, uint8_t TransferDirection, uint16_t AddrMatchCode) {
   if(hi2c->Instance == I2C1) {
     if(AddrMatchCode== I2C_SLAVE_ADDR)
     {
       transferRequested = 1;
       transferDirection = TransferDirection;
     }
   }
}

void HAL_I2C_ListenCpltCallback(I2C_HandleTypeDef *hi2c)
{
    if(hi2c->Instance==I2C1){
      HAL_I2C_EnableListen_IT(&hi2c1);
    }
}


int main(void)
{
 〜〜〜〜
 //自動生成初期化コード
 〜〜〜〜
/* USER CODE BEGIN 2 */
 HAL_I2C_EnableListen_IT(&hi2c1);//スレーブアドレス呼び出しの割込み有効化
uint8_t i2cBuf[2];
/* USER CODE END 2 */

/* Infinite loop */
/* USER CODE BEGIN WHILE */
 while (1)
 {

    while(!TransferRequested) {//I2Cスレーブ処理がない場合
       SensorData=XXXX;//センサデータ更新
    }
    TransferRequested = 0;
    if(TransferDirection == TRANSFER_DIR_WRITE) {
      HAL_I2C_Slave_Sequential_Receive_IT(&hi2c1, i2cBuf, 1, I2C_FIRST_FRAME);//レジスタ情報受信
      while (HAL_I2C_GetState(&hi2c1) != HAL_I2C_STATE_LISTEN);

      switch(i2cBuf[0]) {//レジスタ情報に応じて返す値を変える
        case WHO_AM_I_REGISTER:
            i2cBuf[0] = WHO_AM_I_VALUE;
            break;
        case SENSOR_REGISTER :
            i2cBuf[0] = SensorData;
            break;
        default:
            i2cBuf[0] = 0xFF;
       }
       HAL_I2C_Slave_Sequential_Transmit_IT(&hi2c1, i2cBuf, 1, I2C_LAST_FRAME);
       while (HAL_I2C_GetState(&hi2c1) != HAL_I2C_STATE_READY);
   }

/* USER CODE END WHILE */
 }

ポイントとしてはHAL_I2C_EnableListen_ITでスレーブアドレスの受信割込みを有効化し、HAL_I2C_Slave_Sequential_Receive_ITとHAL_I2C_Slave_Sequential_Transmit_ITを用いて受信、送信処理をする点です。また、受信、送信処理ではack、nackを返す処理をするためにI2C_FIRST_FRAME、I2C_NEXT_FRAME、I2C_LAST_FRAME等を使い分ける必要があります。

今回の例ではレジスタ値によって返す値の数を1つに固定しましたが、I2Cスレーブデバイスによっては連続するレジスタの値を一度に取得することが可能なものがあります。そのような場合はレジスタの値を配列に予め入れて置き、要求のあったレジスタによってオフセットさせて値を返すようにすることで実現可能です。

STM32マイコンで自作I2Cデバイスを製作してみたいと思います。
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2020年08月01日

STM32マイコン UART受信時必須処理 その2

以前、STM32マイコンでUARTの受信をする際に必須となるエラー処理について紹介しました。その際はフレーミングエラーが生じており、HAL_UART_Abort関数でクリアする方法を紹介しました。

今回は長いデータを連続して送信する際にオーバーランエラーが発生した際の対処方について紹介します。HAL_UART_Abort関数だけオーバーランエラーが発生した際にクリアされず、MPUがハングする場合がありました。環境としてはSTM32H743Z、STM32H7 Cube MCU Packeage 1.7です。

HAL_UART_Abort関数内では下記のようにエラー処理されており、オーバーランエラー、ノイズエラー、パリティーエラー、フレーミングエラーのクリア処理がされています。一見するとオーバーランエラーが解消されそうに見えますが、MPUがハングする現象がありました。

__HAL_UART_CLEAR_FLAG(huart, UART_CLEAR_OREF | UART_CLEAR_NEF | UART_CLEAR_PEF | UART_CLEAR_FEF);


HAL_UART_Abort関数内のフラグだけでは十分でないようです。試行錯誤した結果、下記のように受信フラグやオーバーランフラグをクリアすると正常動作に復帰することが確認できました。

if ( __HAL_UART_GET_FLAG(&huart1, UART_FLAG_ORE) )
{
    __HAL_UART_CLEAR_FLAG(&huart1,
                                              UART_CLEAR_NEF |
                                              UART_CLEAR_OREF |
                                              UART_FLAG_RXNE |
                                              UART_FLAG_ORE);
}

UART_FLAG_OREエラーが発生する場合は受信フラグやオーバーランフラグ自体をクリアする必要があるようです。エラーでUART受信できなくなるだけでなく、MPUがハングするような現象が発生したため、原因特定に時間を要してしまいました。最初はmalloc等のメモリ関連が原因かと思いましたが、UART単体でも異常が発生したため、UART起因と判明しました。UART回りはエラーケースが様々でなかなか厄介です。
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2020年07月25日

CO2センサ

混み具合や換気状態を監視する用途としても昨今、CO2センサが注目されています。

一般的なCO2の検出方式としてはNDIR(Non Dispersive Infrared)方式とMOX(Metal Oxide)方式の2種類があります。精度面ではNDIRの方がMOXよりも優れています。MOXは空気中の有機物を検出することで間接的にCO2を推定するため、直接CO2濃度を光学的に検出するNDIRに比べて精度では劣ります。一方でNDIRは光学機構を備えるため、コストがMOXに比べると高く、大きさも比較的大きくなります。一方、MOXは半導体素子として構成されるため、非常に小さく、コストも安い特徴があります。

今回はMOXのセンサを紹介します。MOXセンサとして有名なセンサは下記の通りです。

・AMS製 CCS811 (生産終了)

AMS製は最近、生産終了のようでメーカのサイトからも情報が消えていました。Arduino等で簡単に使いたい場合はSGP30の方が情報が豊富でおすすめです。ただ、個体差なのか、値のドリフトが大きく少し不満がありました。最近、改良版のファームが発表され、さらに精度が上がったということでIDT製ZMOD4410を試してみました。

残念ながらZMOD4410のレジスタ情報が非公開であり、IDTのサイトからユーザー登録して取得する必要があります。また、CO2換算処理アルゴリズムについても非公開でバイナリファイルとして配布されているため、Arduino IDE等では使用できません。バイナリファイル(libファイルやaファイル)を組み込むことができる開発環境が必須です。今回はSTM32F303KとSW4STM32を使用しました。

試しの基板としてZMOD4410とHS3001を組み合わせた環境センサを作成してみました。温度、湿度、TVOC、CO2等を測定することが可能です。

env-sen.jpg


実際に使用してみたところ、換気直後は400ppm以下(下限400ppmでそれ以下は測定できない)となり、夜部屋を閉め切った寝室では朝方にかけて800ppm以上となり、換気をすると400ppm以下に収まることが確認できました。以前の改良前のZMOD4410 - 1st GenではSGP30同様に値のドリフトが多少気になりましたが、ZMOD4410 - 2st Genでは学習にニューラルネットワークが適用された変換アルゴリズムでドリフトが低減したように感じました。


zmod_test.jpg


ZMOD4410はバイナリファイル(libファイルやaファイル)を組み込むことができる開発環境が必要で、データシートも公開されていません。さらに変換アルゴリズムライブラリのコードサイズやメモリ使用量が大きく、敷居が高いセンサです。今後はI2CでArduino等からも簡単に扱うことができるZMOD4410専用の変換基板も開発してみたいと思います。また、ZMOD4410、SGP30、NDIRとの同時計測で比較してみたいと思います。
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