2026年07月04日

EZ-CUBE3

ルネサスのマイコン書き込みツールとして有名なものとしてE2エミュレータLiteがあります。一方でAliexpress等の中華サイトではEZ-CUBE3というエミュレータがルネサスマイコンの書き込みツールとして検索によく引っ掛かります。EZ-CUBE3は中国圏のみで販売されているようで日本では販売されていません。E2エミュレータLiteは以前、8千円程度で入手できましたが、昨今の円安や半導体不足の影響で1.1万円前後と価格が上がっているため、試しにEZ-CUBE3をAliexpressで購入して実験してみました。



名称価格対応MCU接続IF
E2エミュレータLite1.1万前後RX、RA、RL78、RISC-VUSB-miniB
EZ-CUBE30.5万前後RX、RA、RL78 USB-TypeC


ez-cube_3.jpeg

付属品としてUSB Type-Cケーブル、14Pinリボンケーブルが付属しています。


ez-cube_1.jpeg

E2エミュレータLiteとの差として、スイッチでターゲットマイコンや電圧を切り替える仕様になっています。また、スイッチ切替でUART機能も内蔵しているため、ちょっとしたデバッグ用途にも便利です。


ez-cube_2.jpeg

14ピンコネクタはE2エミュレータLiteと同じですが、ピンアサインはEZ-CUBE3とE2エミュレータLiteで全く異なるため、互換性がありません。ケース後ろにピンアサインの説明が記載されているため、E2エミュレータLiteよりも迷わず、接続は簡単です。


img1.jpeg

基板構成としてはE2エミュレータLiteよりもかなり簡素で低価格なのも納得です。メインMCUとしてR5F52318ADFLを搭載しているようです。何よりもUSB Type-CでPCと接続可能なため、昨今の接続環境としては非常に便利です。


ソフトウェア的な互換性については、EZ-CUBE3もE2エミュレータLiteもRenesas Flash ProgrammerやCS+等からは同じくE2Liteとして認識されます。つまり、E2エミュレータLiteを使用しているユーザの場合、設定変更なしでそのままEZ-CUBE3を使用することが可能です。

なお、EZ-CUBE3以外に低価格なデバッガーとしてAE-RL78G11-STICKも同様にE2Liteとして認識されるようで、低価格なデバッガーとして利用できるようです。


E2エミュレータLite以外にEZ-CUBE3も日本で入手できるようなればよりユーザの裾野が広がるかと思いました。特に低価格かつUARTやType-C対応が教育用途や評価検証において非常に魅力的です。ただし、EZ-CUBE3は現時点では中国圏のユーザをターゲットにしているため、それ以外のユーザはサポート対象外です。上記情報についても今後の仕様変更によっては変更される可能性があります。あくまで現時点で確認した参考情報としてください。
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2026年06月06日

TMF8828/TMF8829 ToF Viewer

前回はUSBシリアルI2C変換基板V2[スイッチサイエンス]を使って簡単にサーモカメラ2種類、MLX90640とAMG88XXをグリッドのヒートマップとして可視化するツールを紹介しました。今回はヒートマップを応用して、AMS製ToFセンサ、最大8x8のTMF8828と最大48x32のTMF8829をヒートマップとして可視化するツールを紹介したいと思います。

最近のST製VL53LシリーズやAMS製TMF882Xシリーズ等のToFセンサはマイコンを内蔵しており、電源投入後にファームをRAMに書き込んでから測距するタイプとなっています。特にST製VL53L9CXやAMS製TMF8829は8x8よりもさらに高解像度を実現したグリッドToFセンサです。個人的には最大54x42のVL53L9CXに期待していましたが、マイコンとのインタフェースがI3CやMIPIでI2CやSPIに比べて汎用性が低くいため、使い勝手に難があります。一方、AMS製TMF8829は従来のToFセンサ同様にI2CやSPIからアクセスできるため、様々なマイコンに接続することが可能です。


USBシリアルI2C変換基板V2とAMS製ToFセンサ、最大8x8のTMF8828や最大48x32のTMF8829を使ってヒートマップとして可視化するツールを作成してみました。ツールはTMF8828/TMF8829 ToF Viewerとしてこちらに公開しています。TMF8829に関しては解像度や設定をラジオボタンで変更できるように実装しました。また、ヒートマップのCSS、JSコード自体はHTMLに組み込んでいるため、右クリックの開発者ツール等で簡単に実装を確認することができます。


TMF8828_TMF8829_ToF_Viewer.jpg


実際に使用してみた際のスクリーン動画をアップしてみました。

本ツールはあくまで動作確認用を目的としています。USBシリアルI2C変換基板V2のデフォルトI2C速度が100kbps程度のため、解像度が高くなると非常にフレームレートが遅くなり、十分なパフォーマンスが発揮できません。マイコン等でSPIや400kbpsのI2C等で接続すれば、センサ仕様のパフォーマンスを発揮できます。解像度8x8程度であれば非常にスムーズなフレームレートで挙動を確認することが可能です。

先日、FirefoxもWeb Serial APIに対応したため、本ツールでEdgeやChromeだけでなく、Firefoxでも可視化できるようになりました。今後もWeb Serial APIを活用したツールを作成してみたいと思います。

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2026年05月02日

Therrmo Viewer

今回はUSBシリアルI2C変換基板V2[スイッチサイエンスElecrow]を使って簡単にサーモカメラ2種類、MLX90640とAMG88XXをグリッドのヒートマップとして可視化するツールを紹介したいと思います。

MLX90640はI2C接続の32x24のグリッド赤外線アレイモジュールです。AMG88XXはI2C接続の8x8のグリッド赤外線アレイモジュールです。

ライブラリ等を使用せず、CSSの.cellクラスを活用して比較的容易にグリッドのヒートマップをhtmlで実装できました。EdgeやChrome等のブラウザから簡単にUSBシリアルI2C変換基板V2[スイッチサイエンスElecrow]とMLX90640やAMG88XXで温度を可視化できます。

MLX90640用のTherrmo Viewerはこちらです。AMG88XX用のTherrmo Viewerはこちらです。ヒートマップのCSS、JSコード自体はHTMLに組み込んでいるため、右クリックの開発者ツール等で簡単に実装を確認することができます。

MLX90640.jpg

実際に使用した際のスクリーン動画MLX90640版AMG88XX版アップしてみました。特にMLX90640は内部EEROMパラメータが正しく読み込みできないと正常に温度変換できません。変換に必要な全パラメータを「Download CSV」ボタンからグリッド温度情報と合わせてダウンロードできるようにしています。そのため、パラメータの妥当性の確認等の用途にも活用可能です。

MLX90640は32x24の解像度があるため、手の形も十分可視化することができ、サーモカメラに近い用途として活用できそうです。

Arduino等を活用して可視化しようとすると、Arduinoへのファーム書き込み、Windows等でシリアルを可視化するソフトと複数のソフトを組み合わせて実装する必要があります。一方、本ツールを活用すれば、htmlからシリアルAPIで直接、I2Cを制御、可視化しているため、特殊なソフトやツールなしにOSに依存せず、簡単にブラウザで可視化できます。特にヒートマップによる可視化やファイルダウンロードという機能はブラウザAPIを使っているため、容易に実装できました。今後は時間を見つけてバイリニア補完等を組み合わせてツールを拡張してみたいと思います。
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2026年04月04日

MINISFORUM BD795i SE BIOS Update

先日、MINISFORUM BD795i SEのBIOSで1.15がリリースされていたため、気軽な気持ちで1.12から1.15にアップデートしてみました。結論からすると運が悪く、Flash更新途中でWindowsがブルースクリーン(Win11では厳密にはブラックですが...)となってそのまま文鎮化してしまいました。以前、1.09から1.12へのアップデートはエラーなくできたため、気を抜いていました。

しっかり1.15にアップデートできているユーザはいるため、1.15のアップデートやツールに問題があったわけではなく、運が悪かったと考えるのがよいかと思います。MINISFORUM BD795i SEは他のボードと違って色々苦戦する点があったため、復帰までの手順を紹介したいと思います。本作業はメーカの保証外です。RMAが正規手順です。専門的知識を有する方が自己責任で行ってください。ただ、壊れているユーザもいるようでやはりBIOSアップデートは注意が必要です。


■MINISFORUM BD795i SEの注意点
・Dual BIOS等の保護機能なし(書き込み失敗で即文鎮化しやすい)
・ピンヘッダが出ていない、SPI Flash取り外し不可、ピン治具必須
・8x6サイズのWSOP8 でピンを当てづらい 
・放熱フィンとPCIx16スロットの間にSPI Flashがあるため、場所が狭くピン治具が届きにくい
※ピン治具によって届かない場合有
※写真右下が1番ピン

Flash.jpg

上記の注意点を知らず、バックアップ等の準備をせずにアップデートしてしまい、更に運が悪く、アップデート失敗。そのままBSD(ブルースクリーン)となって、電源を切るしかなく、文鎮化してしまいました。ファンが回るものの、CMOSクリアでもBIOSが起動しませんでした(LAN LEDが点滅しない)。単なる書き込み失敗だけであれば、再度、Batを実行し、書き込みすることで文鎮化を避けられます。しかし、今回はWindows自体がBSDで停止したため、再書き込みすることができませんでした。


MINISFORUM BD795i SEに搭載されているSPI FlashはW25Q256JW、1.8V版です。下記の手順でSPI Flashに書き込みを行い、復帰させました。

@SPI Flashツール(CH341A+1.8V変換+ASprogrammer)、ピン治具を準備
手持ちにあったCH341Aのツールを使用しました。W25Q256JWの電源は1.8Vで3.3Vではありません。1.8V変換アダプタが必須です。
今回、ピン治具は手持ちのSOIC8にスプリングピンを差し込み、スペーサを挟ませて8x6のWSON8に対応させました。無理に対応させると最悪、ショートさせて基板を破損させる可能性もあります。 8x6サイズのWSOP8対応のピン治具を事前に用意することを強く推奨します。

CH341A_1.8V.jpg

SOIC8_to_WSON8.jpg


AASprogrammerをダウンロードし、対応フラッシュを追加します。
chiplist.xmlをメモ帳等で開いて、Winbondの項目を探す
下記の赤線下くらいに下記1文を追記して保存する。

<W25Q256JW_1.8V id="EF6019" page="256" size="33554432"/>


spi_flash.jpg


BASprogrammerのRead IDボタンを押して、接続確認します
 対応フラッシュの追記と接続が正常であれば自動的にW25Q256JWが検出されます

C接続確認後、Read ICボタンで現状のSPI Flashデータを念のため読み込み、保存しました。
D1.15のDRFXI.BINファイルを開いて、書き込みします(PCの電源はOFF状態で、治具から1.8V電源を供給)
E電源を入れてPCを起動を確認(初回はメモリキャリブレーションがあるため、少し時間がかかる)

本来、やるべき手順は下記です。

■事前準備
・SPI Flashのバックアップ
・Primary card MAC (Address)、System UUID、Motherboard S/Nをメモ
・SPI Flashツール、ピン治具を準備
・Windows、Office等の再アクティベーションする場合の準備

■作業
・可能な限りWin環境でなく、UEFI環境でアップデート
※書き込み中にOS側のエラーを回避する

■事後
・WindowsやOfficeのアクティベーション状態を確認
・新しいBIOSをバックアップ


壊れたSPI Flashのデータと1.15をバイナリエディタで見比べると、途中からずれたアドレス位置にデータが入っており、アドレス指定コマンドの処理に異常があり、書き込みに失敗したようです。

また、SPI Flashのメモリを全削除して、1.15を書き込みした影響なのか、System UUID?が変わってしまい、Office2021のアクティベーションを再度、行う必要がありました。Windowsは問題なく、再アクティベーション不要でした。1.12でDMI base board manufacturerが "Meigao Innovation Technology (Shen zhen) Co., Ltd"に変わったことも少し影響しているかもしれません。

なお、Primary card MAC (Address)はマザーボード上のLANポートのシールと一致しており、SPI Flashのメモリ全削除の影響はなさそうでした。アップデート前のSystem UUID、Motherboard S/Nをメモしていなかったため、それがどう変わったかについては今となっては分かりません。復帰できたため、一安心ですが、事前準備が重要ということを改めて認識しました。改めてになりますが、本作業はメーカの保証外です。RMAが正規手順です。専門的知識を有する方が自己責任で行ってください。
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2026年03月07日

I2Cカウンタ基板

ボタン押し回数や機器の使用回数、移動距離、ドアの開閉回数等、カウントして値を保持する場合に便利なのがカウンタICです。カウントICの中でもS-35770は24bitのバイナリアップカウンタでI2Cを介してカウント数を読み出すことが可能です。また、IC自体で0.01uAと消費電力も小さいため、電池で運用することも可能です。カウント信号の最大入力周波数は1000kHzで比較的高い周波数にも対応しています。

ただし、S-35770はカウントアップ専用で、カウントダウンすることはできません。また、I2Cを介してカウントデータを読み出すのみで、リセットすることはできません。なお、フリーレジスタ機能があり、カウント値とは別に3バイトの値を書き込み、読み出しすることが可能です。

S-35770のそのままの仕様ではリセットやLOOP(キャリーアウト信号)のIO状態をI2Cから取得や制御できないため、I2Cから制御可能なGPIO、PCA9536と組み合わせてI2Cを介して制御できるカウンタ基板を作成してみました。また、CR1220の電池を搭載することでカウント値を保持できるようにしました。

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本基板はCR1220電池を搭載しているため、電源なしでカウント値の保持だけでなく、カウントも行うことが可能です。例えば、通常は本基板とスイッチ等(本基板のBATピンとCLKピンをスイッチに接続)を組み合わせてカウント数を本基板でカウントし、必要な時にマイコンと接続してカウント数を読み出すといった使い方が可能です。

なお、I2C GPIOを介してカウンタのリセット操作やLOOP信号の読み取りができますが、電池運用する場合は注意点があります。メイン電源を切る前にリセット信号のGPIOをデフォルトの入力に戻す必要があります。この理由として、GPIO出力のままの状態ではメイン電源が切られた際に電池でプルアップしているRST信号がLOWに引っ張られてカウンタがリセットされてしまうためです。この問題を防ぐためにI2C GPIOを入力状態にすることでRST信号がLOWに引っ張られることを防ぐことが可能です。

回路図やサンプルコード等はこちらで公開しています。また、スイッチサイエンスにて販売を開始しました。
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