混み具合や換気状態を監視する用途としても昨今、CO2センサが注目されています。
一般的なCO2の検出方式としてはNDIR(Non Dispersive Infrared)方式とMOX(Metal Oxide)方式の2種類があります。精度面ではNDIRの方がMOXよりも優れています。MOXは空気中の有機物を検出することで間接的にCO2を推定するため、直接CO2濃度を光学的に検出するNDIRに比べて精度では劣ります。一方でNDIRは光学機構を備えるため、コストがMOXに比べると高く、大きさも比較的大きくなります。一方、MOXは半導体素子として構成されるため、非常に小さく、コストも安い特徴があります。
今回はMOXのセンサを紹介します。MOXセンサとして有名なセンサは下記の通りです。
・AMS製 CCS811 (生産終了)
AMS製は最近、生産終了のようでメーカのサイトからも情報が消えていました。Arduino等で簡単に使いたい場合はSGP30の方が情報が豊富でおすすめです。ただ、個体差なのか、値のドリフトが大きく少し不満がありました。最近、改良版のファームが発表され、さらに精度が上がったということでIDT製ZMOD4410を試してみました。
残念ながらZMOD4410のレジスタ情報が非公開であり、IDTのサイトからユーザー登録して取得する必要があります。また、CO2換算処理アルゴリズムについても非公開でバイナリファイルとして配布されているため、Arduino IDE等では使用できません。バイナリファイル(libファイルやaファイル)を組み込むことができる開発環境が必須です。今回はSTM32F303KとSW4STM32を使用しました。
試しの基板としてZMOD4410とHS3001を組み合わせた環境センサを作成してみました。温度、湿度、TVOC、CO2等を測定することが可能です。
実際に使用してみたところ、換気直後は400ppm以下(下限400ppmでそれ以下は測定できない)となり、夜部屋を閉め切った寝室では朝方にかけて800ppm以上となり、換気をすると400ppm以下に収まることが確認できました。以前の改良前のZMOD4410 - 1st GenではSGP30同様に値のドリフトが多少気になりましたが、ZMOD4410 - 2st Genでは学習にニューラルネットワークが適用された変換アルゴリズムでドリフトが低減したように感じました。
ZMOD4410はバイナリファイル(libファイルやaファイル)を組み込むことができる開発環境が必要で、データシートも公開されていません。さらに変換アルゴリズムライブラリのコードサイズやメモリ使用量が大きく、敷居が高いセンサです。今後はI2CでArduino等からも簡単に扱うことができるZMOD4410専用の変換基板も開発してみたいと思います。また、ZMOD4410、SGP30、NDIRとの同時計測で比較してみたいと思います。