今回は痒い所に手が届くアナログICを紹介します。
交流の電流や電力を計算する場合、一般的には実効値が用いられます。平均値はコンデンサ等で安定化させることで容易に得ることができますが、実効値は容易に得ることができません。波形が正弦波の場合であれば平均値から換算することも可能ですが、実際の電流波形は綺麗な正弦波であることは少なく、歪みがあるため、換算は容易ではありません。
そのため、一般的には高速でサンプリングしてから定義に従って離散値から実効値を求めます。この場合、サンプリング速度が測定したい信号に対して十分に速い必要があります。このような場合に便利なのが今回紹介するRMS-DCコンバータです。
RMS-DCコンバータの代表的なものとしてAnalogDevicesのLTC1966があります。入力信号に対してRMSに応じたDC出力を得ることができます。ワンチップでRMS値を得られるため、ADコンバータのサンプリング周波数や換算等を考慮する必要がないため、非常に便利です。
写真はAliexpressで購入したLTC1966の変換基板です。
LTC1966の場合、50Hz~1kHzで0.25%の誤差、2.7~5.5Vの単電源、もしくは±5.5Vまでの両電源で使用できます。ただし、注意点として入力できる信号は最大1Vppの電圧となるため、超えないように注意が必要です。
今後はRMS-DCコンバータを使った応用回路について紹介したいと思います。