タイマーIC、NE555はCR発振で簡単にタイマーやクロック出力を実現できるため、1970年代に発売されたICでありながら未だに多く活用されています。
NE555のリセットピンを電源にプルアップさせて連続的なクロックとして使用する場合には大きな問題になりませんが、NE555のリセットピンを活用して、必要なときのみクロックを出力する場合、NE555の回路そのままでは意図した動作を実現できません。具体的にはリセット直後はタイミングキャパシタは0Vからチャージされ、それ以降は1/3VCCからチャージされます。そのため、クロックの周期がリセット直後だけ長くなってしまう問題があります。
このような問題に対して、タイミングキャパシタに回路を別途、追加することで解決する方法が提案されています。
追加する回路としてはタイミングキャパシタにPNPトランジスタと1/3VCCとなるように抵抗を追加(下図黄色丸部分)します。
この回路によって、リセット中(RST 0V)はPNPトランジスタがONして、タイミングキャパシタが抵抗分圧によって1/3VCCにチャージされます。リセット解放後(RST VCC)でPNPトランジスタがOFFし、最初から1/3VCCでチャージを開始するため、リセット直後であっても一定のクロック周期のクロックを出力することが可能となります。
最近のICでは至れり尽くせりな仕様で意図通りに動くことが多いですが...昔からあるICの場合は互換性を重視している等の理由で応用的な回路では意図しない動作をすることが多々あるため、要注意です。