今回は先日、スイッチサイエンスで販売開始したデバイス、万年カレンダーユニットについて、紹介したいと思います。
以前からサイズ2.13インチ、解像度250x122、消費電流14uA前後の超低消費電力LCDを活用したいと考えていました。Aliexpressの商品サイトにはe-paperと記載がありますが、電源断で表示が消えるため、厳密にはe-paperではありません。ただし、非常に消費電力が小さいことからバッテリやキャパシタを組み合わせればe-paperのように使え、高コントラストで見やすいことからこのような表現をしていると思われます。また、詳細は不明ですが、見た目や挙動からベースはシャープのメモリ液晶から派生したLCDだと思われます。
高解像度、超低消費電力、高コントラストの特徴を活かし、日頃からデスクサイドで活躍できそうな万年カレンダーを設計してみました。市販品の万年カレンダーは壁掛けタイプや大きなものが多いと感じていました。パソコンのディスプレイ横に置いても邪魔にならないサイズ、サイズ幅82mm 、高さ32mm、奥行30mm(突起部、USBコネクタ除く)にしてみました。
マイコンは今なら低消費電力のRP2350を選択しますが、開発段階では販売されていなかったため、RP2040を使用しています。電池で駆動させるため、電源管理ICとしてプッシュボタンロードスイッチ、XC6194を使用しています。XC6194は押しボタンでON/OFFするためのロードスイッチで、ONのパルス信号を送ると、ロードスイッチがON、ラッチします。今回は押しボタンのパルス信号の代わりにRTCのINT信号に接続し、RTCのINTを1分タイマ割込に設定することで、電源管理ICからRP2040を1分に1回、起動させています。LCDの描画処理後、シャットダウン信号をRP2040からXC6194に出すことでOFFさせています。
BLEデバイスに限らず、電池駆動のデバイス開発に便利なPower Profiler Kit II (PPK2)で1分間の電流を測定したところ、平均200~300uAと分かりました。2000mAh程度のニッケル水素充電池で約1年程度の寿命を実現することができました。なお、電流や電池寿命は使用環境や使用方法によって大きく変動するため、数値を保証するものではありません。
なお、万年カレンダーユニットの回路図、ソースコードはすべてこちらのGithubで公開しています。また、スイッチサイエンスでも販売しております。